このコンクリートで覆われた床をはつり、新たに土間を打つことは考えていなかった。
しかし、地中から立ち昇る湿気が木床部分を腐らせて床の修繕が必要になるサイクルが早く、コンクリートは織機の機械油が浸み込みかなり侵食が進み脆くなっていた。そのためこのコンクリートをはつる決心をする。どのようにこのコンクリートを剥がしたら良いのか。
週末に作業を行なうこと、作業のタイミングなど様々なことを考え、大ハンマーとツルハシを使うことにした。パワーショベルでコンクリートを取り除くことも考えたが、この地を触るのにはゆっくりとした時間が必要であると感じ、人の足と手で土を触る必要があった。
実際の作業工程としては、まずコンクリートカッターで土間全体に切込みを入れ、比較的コンクリートが薄い場所から剥がし、均等間隔に織機を乗せるための基礎を大ハンマーで叩き割りツルハシで掘り起こした。
大ハンマーで基礎部分のコンクリートを叩くと、地中の響きがハンマーの柄と足から伝わって身体に入り込んでくる。時折天窓から降り注ぐ光が土に当たるのを見て、この場に建物が建つ前は桑畑であったという話を思い出し、またその前は今はそばを流れている川だったのではないかと考えながら、足で踏みしめる地から天へ何かが体を通っていく感覚を感じていた。
天と地を人が繋いでいる形だ。
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